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Philip の 続・ちょっといい話

何度でも

 現代は、なんでも「すぐに」手に入り、「忍耐」ということが忘れられている時代です。以前は、子どもたちが、両親におもちゃや自転車などを買ってもらう時には、誕生日やクリスマスまで待たなければならなかったのですが、今は「欲しい」と言えばすぐに買ってもらえるようになりました。その結果、今の若者たちは忍耐をなくして、すぐに「切れて」しまったり、物事を投げ出してしまうようになりました。

 しかし、聖書は「あなたがたが神のみこころを行なって、約束のものを手に入れるために必要なのは忍耐です。」(ヘブル人への手紙十章三十六節)と、私たちに忍耐を教えています。本当に良いものは、忍耐の後に手に入れたものでしょうね。偉大なことを成し遂げた多くの人は、天才的なひらめきによってではなく、失敗しても、あきらめず、忍耐と努力によって、成功を収めています。

 ペリー提督は七回、北極を目指しましたが、すべて失敗しました。しかし、あきらめないで八回目に北極点に到達しました。エディソンは電球のフィラメントを見つけるのに、なんと1600もの材料を試しました。 オスカー賞で有名なオスカー・ハマスタインが「オクラホマ」で成功するまで、六回のショウはすべて失敗でした。しかし、その後「オクラホマ」は 2,248回ものショウを重ねることになったのです。ベーブ・ルースは714本のホームランを打ちましたが、その倍以上の空振りをしています。

 ユリシーズ・グラントは、軍務についている時に酒を飲み、酔っ払ったため、軍を辞めさせられました。それでビジネスをしましたが、失敗し、農業も試してみましたが、それも失敗しました。彼は、働き盛りの四十代に、薪ひろいをし、それを道端で売っていたのです。しかし彼はあきらめませんでした。そして、彼は、その「忍耐」によって、アメリカ大統領にまでなったのです。

 今年の冬季オリンピックはイタリアのトリノで行われましたが、2010年の冬季オリンピックはヴァンクーバでおこなわれますね。今年のオリンピックの閉会式で、オリンピックの旗がヴァンクーバのサム・サリバン市長に渡されました。サリバン市長は、車いすに乗っていますので、どうやってあの重い旗を手にするか、苦心したそうです。みんなが知恵を出し合って、車いすに旗竿を差し入れる金具を取り付けることで解決しました。サリバン市長はバンクーバでそれを何度も練習し、閉会式では、電動の車いすを動かしながら、オリンピック旗をはためかせ、大きな拍手を受けていました。サリバン市長は、19歳の時、スキーの事故で手足の自由を失い、一時は自殺を考えたのですが、その後、社会福祉のために生きることを決意、バンクーバの市議となり、昨年11月市長に選ばれのです。サリバン市長が19歳の時に人生をあきらめていたら、あの喜びはなかったでしょうね。

 私たちは、「よし、やろう!」と決心しても、「三日坊主」で終わることもあるでしょう。自分の意志の弱さに嘆くこともあるかもしれません。けれども、それであきらめてはいけません。投げ出してはいけません。神さまは、私たちが、一回や二回の失敗であきらめるのを望んではおられません。こんな詩があります。

    はげまし

 一度や二度のつまずきが何でしょう
 三度や四度の失敗が何でしょう
 五度や六度の行き詰まりが何でしょう
 十度でも百度でも
 神は私たちの弱さをご存知です
 憩いましょう大いなる御手に
 感謝しましょう豊かなゆるしに
 安心して歩き続けましょう
 神に与えられた良い道を

 神さまは、私たちを何度でもゆるし、立ち直らせてくださいます。神さまの愛を信じて、何度でもやり直しましょう。自分のがんばりだけではいつかは忍耐をなくしてしまいます。しかし、神さまに信頼するとき、ほんとうの忍耐が生まれてきます。

「あなたがたが神のみこころを行なって、約束のものを手に入れるために必要なのは忍耐です。」(ヘブル人への手紙十章三十六節)とあるように、神さまからいただく忍耐によって、神さまの約束を自分のものにすることができるのです。

(2006年6月)

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