Philip's Bookcase |
IVP の Pocket シリーズは、日本でいう「新書判」サイズに、各分野の入門的なことがらを簡潔にまとめたものです。入門書とはいっても、それぞれ専門家によって十分に吟味して書かれており、正確な情報を得ることができます。
Pocket History of Evangelical Theology は福音派神学のルートを敬虔主義、リバイバル、ピューリタン、ウェスレーなどに求めており、プリンストン学派、ホーリネス-ペンテコステ運動、ファンダメンタリズムと福音派神学についてそれぞれに論じています。
福音派の代表的な神学者として Carl F. H. Henry, E. J. Carnell, Bernard Ramm, Donald Bloesch らをとりあげ、その思想と功績を紹介しています。
最後の「福音派神学における緊張」という章では、進歩的な改革派と保守的な非改革派との緊張、変革主義と伝統回帰主義との緊張、聖書の無誤性を制限するグループとそうでないグループとの緊張、福音派の境界をひろげようとするグループと制限しようとするグループとの緊張をとりあげています。
福音派の抜本的な変革をめざす Miroslav Volf, Stanley J. Grenz, Kevin Vanhoozer, Nancey Murphy, John Sanders らの陣営と、福音派が受け継いだものを保とうとする Millard Erickson, Wayne Grudem, Norman Geisler, Al Mohler Jr. らの陣営の調和が、福音派の将来のためには必要だということがこの本の結論となっています。
私は、歯科医院での待ち合い時間に読もうと大きな本を持って行き、実際の診察の時、置き場所に困ったことがあります。けれどもこの Pocket シリーズなら、ジャケットのポケットに入り、困ることはありません。いつもポケットにいれておきたい一冊です。
著者 | Olson, Roger E. |
書名 | Pocket History of Evangelical Theology |
出版社・出版年 | InterVarsity Press, 2007 |
ISBN | 978-0-8308-2706-0 |