Philip's Bookcase |
カソリックの教えはカテキズムにまとめられているのですが、それはかなりの分量があって、カソリックのクリスチャンにとっても取り付きにくいものでした。それで先の教皇 John Paul II は Joseph Ratzinger を長とする特別委員会を作り、カテキズムの要約版を作らせました。それは John Paul II の在位中には出版されませんでしたが、次の教皇によって出版されました。それが Compendium: Catechism of the Catholic Church です。Compendium には教皇 Benedict XVI の署名が入っていますが、この教皇こそ Compendiumの編纂にあたった Joseph Ratzinger その人なのです。
この Compendium の特徴は、正式なカテキズムに準拠していること、問答形式をとっていること、フルカラーの宗教画を挿入したことであると、序文にあります。宗教画の挿入はとても効果的で、Compendium に親しみを感じさせてくれます。特に東方教会からのものを積極的に取り入れているのは、東西教会の融和を考慮してのことかもしれません。
教会の信仰は歴史を通して伝えられてきたものです。教会はさまざまな異端に遭遇しましたが1054年に、東西教会に分裂するまではひとつの教会でした。今日東方教会は Orthodox Church、西方教会は Catholic Church と呼ばれています。プロテスタント教会は、1517年にカソリック教会から生まれたものです。オーソドックス、カソリック、プロテスタントはそれぞれにずいぶん違った形をとっているように見えますが、もとはひとつの幹につながるものです。それぞれが、とくにプロテスタントがその根幹やルートにもっと目をとめる必要があるように思います。オーソドックスも、カソリックも、プロテスタントを良く知っているのにくらべ、プロテスタントはオーソドックスやカソリックのことをあまりにも知らなさ過ぎるように思います。
プロテスタントはカソリックから生まれたのですから、まず、カソリックを知ることなしには、みずからを知ることはできないと思います。この Compendium はカソリック・クリスチャンばかりでなく、プロテスタントにとっても必読の書です。
書名 | Compendium: Catechism of the Catholic Church |
出版社・出版年 | USCCB Publishing, 2006 |
ISBN (10/13) | 1-57455-720-3 / 978-1-57455-720-6 |