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Philip の ちょっといい話

『ダ・ヴィンチ・コード』の「事実」と「虚構」(その3)

 ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』で言われている「秘密」とは、「イエスがマグダラのマリヤと結婚していて、その子孫が今も生きている。」ということなのですが、果たして、イエスは結婚しておられたのでしょうか。そしてその相手はマグダラのマリヤだったのでしょうか。

 聖書は、イエスが結婚しておられたとはどこにも書いていません。イエスは弟子たちに「というのは、母の胎内から、そのように生まれついた独身者がいます。…また、天の御国のために、自分から独身者になった者もいるからです。それができる者はそれを受け入れなさい。」(マタイ19:12)と言われましたが、「生まれついた独身者」、「天の御国のために、自分から独身者になった者」という言葉は、あきらかにイエスご自身を指しています。イエスはご自分を実例として独身について教えたのです。また、コリント第一9:5で使徒パウロは「私たちには、ほかの使徒、主の兄弟たち、ケパなどと違って、信者である妻を連れて歩く権利がないのでしょうか。」と言いましたが、もし、イエスが結婚していたのなら、なぜ、「私たちには、主イエスのように妻を連れて歩く権利がないのでしょうか。」と言わなかったのでしょうか。

 それに、マグダラのマリヤが若い女性であったというのも、全くの想像にすぎません。イエスに従った女性たちの多くは、イエスの母マリヤと似通った年代の女性たちでした。ペテロの姑やヤコブとヨハネの母親など、息子たちがイエスの弟子となったので、自分たちもイエスに従うようになった女性がほとんどでした。結婚前の若い女性が、男の弟子たちにまじってイスラエルの各地を旅行するということは、当時は考えられないことであり、また、そういうことがあれば、イエスを批判しようと目を光らせていたパリサイ人たちが見逃すはずはありません。マグダラのマリヤの名は、常に、イエスの母マリヤやクロパの妻マリヤたちと一緒に出てきますので(ヨハネ19:25-27参照)、マグダラのマリヤもまたイエスの母と同じような年代の女性であったと思われます。

 ブラウンは「イエスはマグダラのマリヤとその子孫によって教会を指導しようとした。」と言いますが、イエスは、死者の中から復活され、永遠に生きておられ、今、かしらとしてご自分のからだである教会を治め、導き、守っておられるお方です。イエスには、教会を導く子孫など必要ではないのです。イエスは聖霊によって処女マリヤからお生まれになったお方であり、教会に属するご自分の民を聖霊によって生み出してくださるお方です。イエスは弟子たちをさして「ご覧なさい。わたしの母、わたしの兄弟たちです。神のみこころを行なう人はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです。」(マルコ3:34-35)と言われました。イエスが造ろうとされたのは血縁による家族ではなく、聖霊による信仰の家族なのです。(つづく)

(2006年8月)

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