USA Diary

October, 2012

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10月1日(月)ルドルフ・シュタイナーの「ヨハネ福音書講義」は興味深い本ですが、その解釈は教会の聖書理解とは全く異なったもので、彼の言う「神智学」に基づいています。そこで説かれているのは、6つの「エロヒム」の化身で、人類に衝撃を与えて霊界に導く者としてのキリストでしかありません。「あなたこそ生ける神の子キリストです」という信仰告白は、決してオカルト的に解釈されてはなりません。
10月2日(火)シュタイナーは、覚醒時の人間と睡眠時の人間を比較しています。覚醒時の人間が物質世界にいるのに対し、睡眠時の人間は霊界に入ると言っています。睡眠時には、その自我が太陽としての「ロゴス」の反射である月としての「ヤーウェ」からの働きかけを受けるというのです。シュタイナーによれば、旧約でご自分を「ヤーウェ」として現された神は、ロゴスの反映であるというのです。これは、初代教会がキリストを「主」、つまり「ヤーウェ」と呼んだことに類似していますが、その意味は聖書どおりではありません。
10月3日(水)シュタイナーによれば人間は、進化の過程をへて今日のようになり、かつては今は消滅してしまった大陸に住んでいたと言います。また、人類の文明が、さまざまな段階を経て今日に至ったとも言います。私はそれらに同調はできませんが、現代の文明がきわめて物質的で、自己主張から成り立っており、そのために人間が本来の豊かさを失っているとの指摘には共感できます。
10月4日(木)オバマ対ロムニーの最初のテレビ討論では、オバマの経済政策の失敗を突いたロムニーに軍配が上がったようで、ロムニー人気が急上昇したといわれています。
10月5日(金)再びシュタイナーの話題ですが、シュタイナーは、ヨハネの福音書を物質文明にしばられた現代の目で読むなら、その真意を理解できないと言います。それはその通りで、私たちは紀元一世紀に戻る必要があると思います。私は、聖書は教会の書物ですので、できるだけ、初代教会の置かれていたコンテキストで読もうとしていますが、シュタイナーはそれよりも広く、古代の神秘思想の文脈の中で読んでいます。そして、様々な神秘宗教の祭儀による秘儀参入のパターンがヨハネの福音書の中に見られるといいます。シュタイナーの古代宗教に関する知識と洞察には感服しますが、それをそのまま聖書にあてはめるには無理があると思います。確かに、古代の祭儀と教会の礼典には共通点はありますが、相違点も大きく、みかけの共通点だけでものごとを関連付けるのは学問的ではないと思います。
10月6日(土)どの宗教にも、それが崇める神々と一体になるための儀式があります。教会のバプテスマも、それによってキリストに結ばれるものであり、キリストを通して、キリストのからだである教会に属するのです。主の晩餐もまた、キリストのからだと血にあずかることであると、聖書にあります。しかし、それらは古代宗教の祭儀と、起源においても、目的においても異なっています。聖書学者の中には礼典の起源を古代宗教に見る人々が多くありますが、私はむしろ、それをキリストご自身の中に見ます。
10月7日(日)バプテスマや主の晩餐は明らかに旧約に起源を持ち、それはキリストご自身によって、新しい意味と目的を与えられて、全世界のあらゆる民族に、また、民族や国家の枠を超えた普遍的教会に与えられたものです。学者たちは、キリストを絶対のお方として信じませんので、旧約の宗教も、他の古代宗教の影響を受けて出来上がったものであり、キリスト自身も、当時の古代宗教の枠組みの中でその思想を発展させたと見ますので、聖書の独自性が失われてしまうのです。
10月8日(月)旧約は、おひとりの神から与えられた契約と、それに応える神の民の信仰と生き方を、排他的とも思えるほど、厳格に守るよう教えています。「旧約の宗教が古代の他の宗教からの借り物でできている」という説は、結論を急ぎすぎているように思います。また、新約も、「別のイエス」、「異なった霊」、「異なった福音」を警戒するように教え、キリストと使徒から伝えられた信仰を守るよう教えています。キリストの教えは他の宗教のコピーであるという説は論外です。
10月9日(火)シュタイナーの「ヨハネ福音書講義」は、今日のキリスト教は唯物化されており、神智学の助けを経てさらに進化しなければならないと言います。確かに、キリスト教から「神秘的」要素が取り除かれているとの指摘はあたっています。とくに、プロテスタントにおいてはそうです。聖霊の賜物を強調したカリスマ運動においても、心理学的なものや現世利益的なものに走っているのは残念です。シュタイナーは「神智学の助けを経て進化したキリスト教」を「キリスト者共同体」というグループで具現化しています。キリスト教に神秘的なものを取り戻し、その霊性を高めるという点では共感できますが、私が求める霊性は、キリストが使徒たちに手渡し、教会がその信条において表わしてきた信仰の中にあるもので、そのグループが目指すものではありません。
10月10日(水)シュタイナーの本を読んで得た益は、グノーシス的なものの考え方がどんなものかをより具体的に知ったことです。シュタイナーは、「自分はキリストが肉体をとって世に来られたこととを認め、肉体の積極的な役割を尊重するので、グノーシスではない」と言っていますが、その説の大部分はグノーシスの考えを代弁しています。「知識人」と呼ばれる多くの人が、自分では気付かなくても、グノーシス的な考えをし、キリストを相対化していますので、そのような考え方と、それを理論化し、体系化した説を学ぶことができたのは、「あなただけが聖、あなたのみ主、あなたのみいと高きお方」とイエス・キリストをたたえる教会の立場を確認するためにとても有益でした。
10月11日(木)きょうは、ケンタッキーで副大統領候補の討論があったようですが、あまり話題になりませんでした。副大統領は、上院の議長として、議会運営にあたりますし、大統領に何かがあったとき、大統領に代わってその全権を担います。大切な職務で、誰を副大統領に指名するかによって、大統領候補への支持も影響されると思います。老練のバイデンと若いライアンのディベートは興味がありますので、インターネットで見てみようと思っています。
10月12日(金)今月は月末に特別集会が2日続けてあり、次月は日本語礼拝でいちばん大きなイベント、「こども祝福式」があります。そんな、あれこれで、忙しくしています。もう少し、効率よく仕事ができればいいのですが、このごろ、効率が鈍ってきたようです。
10月13日(土)ニューメンバー・クラスがきょうで終わりました。バプテスマや入会前に教えておきたいことは山ほどありますが、5〜6回ではとても伝えきれません。バプテスマや入会後のしっかりしたクラスの必要性を感じます。信仰生活の具体的なことがらも大事ですが、教理をしっかり学ぶ機会がなによりも大切と思っています。
10月14日(日)きょうは詩篇130篇からメッセージをしました。詩篇の中にはそのまま祈ることが出来る箇所がいくつもあります。古代のキリスト者たちは詩篇で神を讃え、詩篇で祈りました。古代に教会の監督になるには詩篇150篇全部を暗誦していなければならなかったほどだったそうです。教会では「交読文」で詩篇を読みますが、「詩篇を祈る」ことは、個人の生活でも、もっと奨励されて良いと思います。秋田楢山教会で作っている「祈祷書」は1日から31日まで、朝と夕に詩篇と他の聖句を順序良く配列しています。そういったものを私も作ってみたいと思っています。
10月15日(月)10月になってもなかなか「夏」が終わらず、暑い日が続いていました。私たちが以前いたサンティエゴなどでは華氏で100度もあったといいます。その後、気温が下がったり、雨だったりと順調でない天候でした。きょうは良い天気になるという予報でしたので、カーペット・クリーニングをしました。年2回、温水と洗剤でカーペットをクリーニングする機械を借りてきてするのですが、前回は、サイドサイズのものしかなく、重くて疲れましたが、今回はレギュラーサイズのもので、あまり疲れませんでした。
10月16日(火)今住んでいる家は借家ですが、できるだけ、きれいに使いたいと努力しています。カーペット・クリーニングもその努力のひとつですが、トイレットやキッチンで修理の必要なところがあります。教会のメンバーで修理が良くできる人がいて、この土曜日に助けてくれることになっています。トイレットの仕事をさせるのは申し訳ないのですが、ヘルプをもらることをうれしく思っています。
10月17日(水)オバマ対ロムニーの二度目のテレビ討論では、オバマがかなり攻撃的で、最初の討論で失ったポイントを取り戻したと言われています。教会の立場からは、生命の尊厳と結婚の神聖は譲れないポイントで、カトリックの「Voter's Guide」では、中絶や同性結婚に賛成するオバマに17.4ポイント、それに反対するロムニーに52.2ポイントを与えています。
10月18日(木)ビリー・グラハムはロムニー候補の父親と親交があって、ロムニー候補に会い、中絶や同性結婚に反対するロムニーの立場を支持しました。11月7日はビリー・グラハムの94歳の誕生日で、ビリー・グラハムはその前日の大統領選挙のために祈って欲しいとメッセージを発表しています。
10月19日(金)英語部牧師が、ビリー・グラハムのメッセージを礼拝プログラムに挟むことにしました。日本語部ではみんなが投票権を持っているわけではありませんが、アメリカに住む者として、大統領選に関心を持ってもらいたいため、そのメッセージを日本語に訳して配布することにしました。
10月20日(土)アメリカの大統領選では、経済や外交だけでなく、中絶や同性婚が争点となります。政教分離は、政府が教会を支配してはいけないということで、教会が政府に向かって何も言ってはいけないということではないと思います。残念ながら同性婚について教派によって考え方が違うのですが、多数の教会はこれに対して一致していますので、教会の立場を明確にすべきと思います。
10月21日(日)きょうの敬老礼拝では「ヌンク・ディミテス」(シメオンの賛歌)からお話ししました。高齢の方々が、シメオンと同じように、主の救いを見て、本物の平安を得られるようにと願いました。高齢の方々へのギフトは、例年の紅白饅頭に代わって、卓上カレンダーとなりました。来年も元気でお過ごしくださいというメッセージが込められています。
10月22日(月)ひさしぶりに日本のレストランでランチを食べました。時間が遅かったせいもありましたが、ひっそりしていましたし、そんなに美味しくもなかったのですが、家内には気分転換になったかと思います。帰りにオーガニックのグロッサリーに行ったら、サプリメント売り場が拡充されて別の店になっていましたので、自然治療のドクターが勧めるハーブのサプリメントを買って帰りました。
10月23日(火)きのうオバマ対ロムニーの最後のテレビ討論がありました。外交問題が扱われ、おもに、中東情勢が語られました。外交では現職大統領に利がありますが、ロムニーも良く議論したと評価され、両候補とも互角の支持を得ているようです。
10月24日(水)アメリカの大統領選は、じつは直接選挙ではなく、各州に割り当てられた選挙人によって選挙されます。各州で支持の多かったほうが、その州の選挙人を全員獲得します。ですから、選挙人の多い州を制した候補者が大統領になります。538人の選挙人の過半数をとれば当選ですが、この数字は、両候補が同数になる可能性があります。もしそうなったらどうするのでしょうね。
10月25日(木)アメリカは大まかにいって東海岸と西海岸が進歩層、それ以外が保守層という色分けになっています。民主党は青色、共和党は赤色で表わす慣習がありますので、東海岸から西海岸にかけて青、赤、青と塗り分けられます。たとえばカリフォルニアでは民主党が強く、いくら共和党候補に投票しても、その票は生かされないことになります。だからといって、投票を控えるのは賢明なことではないと思います。全体の得票数によって、国民全体の意見も反映させることができるからです。
10月26日(金)きょうの特別集会で、日本国際飢餓対策機構の田村先生が、南スーダンでの活動を話してくださいました。アフリカでは「こどもたちに、将来何になりたい?」と聞いても、返ってくる答えは「おとなになりたい」なのだそうです。おとなになるための食べ物があり、それまで病気にかからず、戦争がないことを願っているというのです。そんなこどもたちのことを考えると、アメリカや日本のこどもたちは恵まれすぎて、いちばん大切なものを忘れているように思いました。
10月27日(土)隣町の教会に、この地域の教会の集まりに行ってきました。このところガソリン代が1ガロン4ドルと高くなったので、カープールする人がいればと、教会に寄ってみましたが、それぞれ、車の手配ができていたようですし、早く帰りたい人もいて、結局、私はひとりだけで出かけることになりました。
10月28日(日)礼拝堂リモデルは今週、インスペクションがあって、来週から使用できる予定です。リモデル工事中、二ヶ月以上夕礼拝をしてきました。小さな集まりでしたが、良い集まりだったと思っています。きょうが最後の夕礼拝でした。
10月29日(月)「忙中有閑」で、ひさしぶりにムービータイムを取り、「八丁堀の七人」を観ました。2000年から2007年までテレビ朝日で放送された作品で、捕物のアクションと人情ドラマとが組み合わさっています。古い作品ですが、古いもののほうが味わいがあるような気がします。
10月30日(火)毎日のように「プロボジションに賛成してください」などというアッピール電話がかかってきます。テープのメッセージなら一方的に切れますが、名前を呼ばれて、いろいろ話しかけられると、簡単に切るわけにもいかず、困っています。あと一週間のことですので、我慢するしかないかなと思っています。
10月31日(水)ハリケーン・サンディがニューヨークに大きな被害をもたらしました。ニューヨークには地下鉄やトンネルなどの地下施設が多いので、そうしたところが浸水して、都市機能が働かなくなったのでしょう。カリフォルニアは穏やかな一日で、ハロウィーンのため夜も多くの人たちが外出していましたが、東部では大変なハロウィーンになりました。
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