勝利の王─詩篇二一篇

 詩篇20篇が戦いに出る王のための祈りとするなら、21篇は戦いに勝利して帰ってきた王を祝福する祈りと言えるでしょう。20:4で「主があなたの願いどおりにしてくださいますように。あなたのすべてのはかりごとを遂げさせてくださいますように。」と祈られた祈りは21:2で「あなたは彼の心の願いをかなえ、彼のくちびるの願いを退けられません。」との賛美に変わっています。みこころにかなった祈りは必ず答えられます。嘆き祈ることがあっても、神がそれを聞き届けてくださる時、それは喜びの賛美に変わります。

 この詩篇はまた、罪と死と悪魔と戦って勝利されたキリストへの賛美として読むこともできます。ダビデは、イエス・キリストの「雛型」のひとりです。彼は、羊飼いの少年でしたが、サウル王に苦しめられながらも、ついに全イスラエルの王となりました。イエスも、十字架の苦難を通して、父なる神の右の座、栄光の座に着きました。詩篇には、ダビデについて歌われている詩篇を通して、イエス・キリストの姿が写し出されるところが数多くありますが、この詩篇も、キリストの復活と昇天にあてはまります。3節は戦いを終えて天に昇られたキリストの栄光が歌われ、4節の「としえまでの長い日々」とはキリストの永遠の支配にふれているようです。8〜12節で「王が敵対する者を徹底的に滅ぼす」とあるのは、キリストの「最後の審判」をさすと考えられます。

 詩篇によって父なる神をほめ讃えるとともに、御子キリストをも賛美することができるのです。