人生の導き

 ユダヤ教の経典、タルムードに、こんな話しがあります。ユダヤ教の教師を「ラビ」と呼びますが、ラビたちの中でも最も尊敬されていたラビ・アキバが、ある時、長い旅に出ました。ロバとニワトリを連れ、ローソクを持って行きました。ロバは荷物を運ぶため、ニワトリは時を告げさせるため、そして、ローソクは、夜も聖書を勉強するためでした。

 ある町に着き、一夜の宿を求めましたが、すべて断られてしまいました。けれども、ラビ・アキバは、がっかりしたり、腹をたてたりしないで、「神さまのなさることはみな良いことだ。」と信じて、野宿することにしました。町から少し離れたところに、ちょうどよい場所を見つけ、荷物を降ろし、ロバとニワトリにえさをやり、ローソクをつけて聖書の勉強を始めました。

 ところが、夜がふけた頃、突然、ライオンが現われ、ロバを奪っていきました。驚く暇もなく、次にネコがニワトリをさらっていきました。しかも、悪いことに、強い風が吹いてきて、ローソクの灯まで消えてしまったのです。けれどもラビ・アキバは「神さまのなさることはみな良いことだ。」と信じて、真っ暗な中で夜を過ごしました。

すると、町の方から、騒がしい声が聞こえてきました。何事が起こったのだろうと耳をすましてみると、敵の軍隊が、その町を襲い、人々を捕虜にして連れて行くところだったことが分かりました。もし、ラビ・アキバといっしょにロバやニワトリがいたら、その鳴き声で、兵隊たちは、アキバのほうにやってきたでしょう。ローソクの灯が消えていなかったら、アキバは見つかって捕虜にされたでしょう。それで、ラビ・アキバは、あらためて、「神さまのなさることはみな良いことだ。」と言って、神を賛美しました。

 聖書には、「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。」(ローマ人への手紙8:28)とあります。今年、教会をあげて「目的の四十日」プログラムに取り組んでいますが、神が、私たちを、その目的に従って導いてくださるお方であることを知り、信じる時、はじめて、「人生の目的」は確かなものとなります。神の導きを信じ、それに信頼して、目的探求の四十日を過ごしましょう。