“Jesus Loves Me”

ヨハネ10:11-15

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10:11 わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます。
10:12 牧者でなく、また、羊の所有者でない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き去りにして、逃げて行きます。それで、狼は羊を奪い、また散らすのです。
10:13 それは、彼が雇い人であって、羊のことを心にかけていないからです。
10:14 わたしは良い牧者です。わたしはわたしのものを知っています。また、わたしのものは、わたしを知っています。
10:15 それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同様です。また、わたしは羊のためにわたしのいのちを捨てます。

 一、 Jesus Loves Me の作者

 "Jesus loves me, this I know. For the Bible tells me so." みんなが好きな歌ですね。この歌は、 誰が、いつ、どこで、どんなふうにして作ったのでしょう。きょうはそのことをお話ししましょう。

 この歌は、今から150年ほど前、1859年に、Anna Bartlett Warner が作ったもので、Anna がお姉さんの Susan と一緒に書いた小説の中に載っています。お姉さんの Susan は、1851年に "The Wide, Wide World" という本を書きました。この本は、数年して、どこの本屋さんにも並ぶほどになり、百万冊も売れたのです。この本はアメリカで最初のミリオン・セラーになった本です。Anna が最初に書いた本は "Dollars and Cents" で、これも良く読まれました。そして Anna と Susan のふたりが一緒に書いた本が "Say and Seal"(言ったら口を閉じなさい)という本で、その中に "Jesus loves me" の歌が入っているのです。

 Anna が生まれたのは New York です。New York に Hadson River という大きな川がありますが、そこに Constituion Island という島があります。Anna はここに住み、ここで小説を書き、"Jesus Loves me" を作りました。Constituion Island の向こう岸には有名な West Point があります。そこは、ジョージ・ワシントンが Hudson River を守るために要塞を作ったところで、トマス・ジェファソンが、そこに United States Military Academy(仕官学校)を作りました。Anna は 60年間も West Point でバイブル・クラスを開き、若い軍人たちを教えました。そこから、数多くの、信仰を持った人たちが育っていきました。Anna は West Point にとって無くてならない人となり、彼女が亡くなったときには Academy が盛大なお葬式をしてくれました。

 次のスライドは、Anna が住んだ家で、Susan と Anna のお父さんが遺してくれたものです。立派な家でしたが、Susan と Anna は、本を書いて得られるすこしばかりのお金で、この家を保つのが精一杯で、決して裕福な生活をしていたわけではありません。

 二、Jesus Loves Me の歌詞

 さて、"Say and Seal" の主人公は Endicott Linden という学校の先生で、Linden 先生のクラスに Johnny Fax という男の子がいました。Johnny はお母さんが早く亡くなっており、他の子よりうんと小さく、身体が弱く、他の子どもから無視されることが多かったのです。それで Linden 先生は、Johnny を特別にかわいがってあげました。ある冬の夜、Johnny が高い熱を出しました。ドクターが診てくれましたが、Johnny は良くならないと言われました。Linden 先生はまるでナースのように Johnny の世話をしました。

 Johnny は、死ぬ前に、何かを話そうとしましたが、もう力がなくて良く話せません。ひとこと "Sing"(歌って)という言葉が聞き取れました。そこで、Linden 先生が Johnny に歌ってあげたのが、"Jesus loves me" だったのです。Johnny はまた、Linden 先生に「前にしてくれたように、天国のところを読んで聞かせて。」と頼みました。Linden 先生は聖書を手にとって、ヨハネの黙示録から、天国にはクリスタルの川があり、ゴールドの道があり、パールの門があるというところを読みました。そして、「この門は、イエスさまを信じるこどものためにあるんだよ。そこを通って入ると、そこにはイエスさまがおられて、イエスさまに会い、イエスさまとずっと一緒にいられるんだよ。」と Johnny に話しました。Johnny はそれを聞きながら、静かに息を引き取りました。パールの門を通って、イエスさまのところに行ったのです。

 Anna は小説の一部として "Jesus loves me" を書きましたが、「自分のこどもに歌ってあげるつもりで、心を込めて書いた。」と言っています。Anna は結婚しませんでしたから、こどもはいませんでした。けれどもイエスさまの愛を深く知っていましたから、こんなに素晴らしい歌を書くことができたのです。イエスさまは、神の御子で、ずっと天国におられるはずのお方でした。神の御子は永遠に生きておられ、決して死ぬことのないお方です。なのに、イエスさまは、ぼくたち、わたしたちが、天国に行くことができるために、この地上に来てくださいました。悪い心、口に出した悪いことば、実際にしてしまった悪いこと、それを、聖書は「罪」と呼んでいます。天国には罪がありませんから、罪を持っている私たちは、そのままでは天国に入ることができません。それで、イエスさまは、わたしたちの罪の罰を身代わりに受けて、十字架で死んでくださったのです。死ぬ必要のない神の御子が、わたしたちの身代わりに死んでくださったのです。今日の聖書にも「わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます。」「わたしは羊のためにわたしのいのちを捨てます。」(ヨハネ10:11,15)というイエスさまのことばがあります。これがイエスさまの愛です。これより、すばらしい愛があるでしょうか。イエスさまは、それほどに、ぼくたち、わたしたちを愛してくださったのです。

 イエスさまは、死んだままでなく、復活し、天に戻りました。天で、わたしたちを待っていてくださるのです。イエスさまが、こんなに、ぼくたち、わたしたちを愛してくださったのですから、ぼくたち、わたしたちも、心からイエスさまを信じて、イエスさまを愛する者になりましょう。そうするなら、天国の門は、ぼくたち、わたしたちのために開かれるのです。"Jesus loves me" に

Jesus loves me, He who died
Heaven's gate to open wide;
He will wash away my sin,
Let his little child come in.
と歌われているとおりです。

 三、Jesus Loves Me の曲

 "Jesus loves me" にメロディーをつけたのは、William Bradbury です。Bradbury は「いさおなきわれを」、「たのしきいのりよ」、「のぞみはただ主の」、「かいぬしなる主よ」、「聖なるわれらの主」、「主がわたしの手を」など、たくさんの賛美歌を作った人で、単純で歌いやすいメロディによって、"Jesus loves me" は世界中のこどもたちに愛され、歌われるようになりました。どんなに多くの人々が、この歌によってイエスさまのことを知り、イエスさまの愛を知ったことでしょうか。

 ずっと前のことですが、インドに、ドクター・チェンバレンという宣教師がいました。ドクター・チェンバレンは、自分のいた地方のことばに "Jesus loves me" を訳してこどもたちに教えました。あるとき、ドクター・チェンバレンが馬に乗って、狭い道を通っていたとき、ひとりのインドの少年がその歌を歌っているのが聞こえました。ドクター・チェンバレンが、そっとその様子を見ていると、少年の歌を聞いていた村の人たちが、「おまえ、どこでその歌を習ったんだ?」と尋ねました。少年は「ドクター・チェンバレンからだよ。」と答えました。「Jesus って誰なんだい?」と村人が聞くと、少年は「神の御子で、わたしたちの救い主だよ。」と答え、「Bible って何だ?」という質問には、「それは、神のことばで、どうしたら天国に行けるかが書いてあるんだよ。」と答えていました。ちいさなこどもが "Jesus loves me" によって、村の人たちにイエスさまのことを伝えていたのです。

 Anna は95歳で亡くなりました。Anna のお墓には、「"Jesus loves me" の作者」とあって、

Jesus loves me, this I know,
For the Bible tells me so:
Litle ones to Him belong,
They are weak, but He is strong.
ということばが彫ってあります。今では、"Say and Seal" という小説も Anna のことも忘れられているかもしれません。しかし、"Jesus loves me" は今も、世界中で歌われ、イエスさまの愛を伝えています。イエスさまの愛は永遠だからです。わたしたちも、すばらしいイエスさまの愛をもっと知り、そして、イエスさまを信じ、愛する者になりたいと思います。

 (祈り)

 天のお父さま、イエスさまが、命を差し出してまで、ぼくたち、わたしたちを愛してくださったことをありがとうございます。イエスさまの愛をもっと知ることができるように、また、もっとイエスさまを愛し、イエスさまに従うことができるように助けてください。イエスさまのお名前で祈ります。

11/2/2008