Philip の 続・ちょっといい話 |
今ではクリスマスは世界中で祝われており、最近は他の宗教でもクリスマスを祝うようになりました。ある仏教会のクリスマスに出席したクリスチャンが「キリスト教会でもクリスマスをするんですか」と尋ねられたという、嘘のような本当の話があります。クリスマスは「キリスト」と「ミサ」という二つのことばが組み合わさってできたもので、「キリストを記念する礼拝」という意味で、クリスマスはキリスト教会のお祝いです。
けれども、12月25日が最初からクリスマスの日であったのではありません。この日は、もとは、ゲルマン人やケルト人の「ソルステス」というお祭りの日だったと言われています。ソルステスというのは、「太陽が動かない」という意味で、12月21日ごろにおこる「冬至」の現象を言ったもので、地球から見て北回帰線と南回帰線の間を動いている太陽が、一時動きを止めるように見えることから名づけられました。
しかし、四世紀ごろに、この日がキリスト教化されて、クリスマスとなったのです。聖書でキリストは「義の太陽」と呼ばれています。一番日が短くなった季節、世の中の闇が最も濃くなった時、イエス・キリストは私たちの光としてこの地上に来てくださいました。冬至が過ぎて日が長くなりかける12月25日にクリスマスを祝うことには意味があるのです。クリスチャンは、それまで人々が、その意味を知らずに守っていた風習、習慣、祭儀に意味を与え、それをキリスト教化することによって、偶像礼拝から自分たちを守り、クリスチャンでない人々にキリストを伝えようとしたのです。
古代の教会では、この季節にはヒイラギやヤドリギが飾りに使われましたが、それは今日まで続いています。クリスマスツリーは宗教改革者マルティン・ルターが、寒いドイツのクリスマスに子どもたちが楽しく過ごせるように、もみの木を室内に立てたことから始まったと言われています。常緑の木は、キリストによってもたらされた永遠の命を表わします。
ルターは、それまで教会の聖歌隊しか歌えなかった難しい歌のかわりに、誰もが歌える賛美歌を数多くつくりました。その中にはこどもがクリスマスに歌う歌もあります。讃美歌101番「いずこのいえにも」はルターの作詞によるもので、天使とこどもが歌いかわすかわいい歌です。今年のクリスマスに歌ってみませんか。あの豪胆な宗教改革者から、こんなにかわいい歌が生まれたというのはちょっと想像できませんね。
サンタクロースがクリスマスになくてならないキャラクターになったのは、アメリカに移住したオランダ人の間で祝われていた、12月5日の聖ニコラスのお祭りがクリスマスと合体してからのことでした。聖ニコラスは実在の人物で、人々への施しによって知られています。それで、聖ニコラスの日には、貧しい人々に贈り物をしていましたが、それが、クリスマス・ギフトとなったのです。ところで、サンタクロースに赤いスーツを着せたのは誰だかご存知ですか?それはコカ・コーラの宣伝担当者です。コカ・コーラの宣伝ではじめてサンタクロースが赤い服を着ました。
ヨーロッパでの伝統的なクリスマスは、クリスマスの四週間前から始まります。この期間を、キリストの降誕を待ち望む期間「アドベント(待降節)」と言い、四週間前の日曜日はアドベントの第一主日で、ふつうは11月の最後の日曜日か、12月の最初の日曜日になります。次が第二主日、その次が第三、クリスマスの直前の日曜日が第四主日となります。この期間「クライスト・キャンドル」と言われる大きなろうそくの回りに「アドベント・キャンドル」という小さなろうそくが立てられ、一週ごとに一本ずつろうろくに灯をともしていきます。そして、アドベントの期間には、聖書のクリスマスの部分が物語られます。ルターの『クリスマス・ブック』は、おとなもこどもも楽しめるアドベントのお話集です。
また、多くの家庭では、馬小屋のイエスさまの置物が飾られます。飼葉桶の赤ちゃんのイエスさま、それを見守るマリヤとヨセフ、羊飼いと東方の博士たちが、箱庭のように並べられます。これを「ナティビティ」と呼びますが、木彫りのもの、陶器製のものなど、さまざまあります。日本人には「プレッシャス・モーメント」のかわいい陶器の飾り物が喜ばれています。それもそのはず、「プレッシャス・モーメント」は日本の陶芸家がデザインしたもので、日米合作のキャラクターだからです。
クリスマスは、世界で一番ポピュラーなお祝いですが、そのルーツは聖書にあります。クリスチャンがクリスマスに第一にすることは、教会で神のことばに聞き、賛美し、祈ることです。そうする時、なぜ、なんのためにキリストがこの世に来てくださったかをはっきりと知り、そのことに心から感謝することができるのです。あなたも、このクリスマスに教会で礼拝をささげませんか。