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United States Catholic Catechism for Adults カソリック教会で「いいなぁ」と思うことのひとつは、洗礼前の教理教育がしっかりしていることです。カソリック教会では通常、イースターにしか洗礼が行われません。洗礼を受けるには、少なくとも半年間、入門講座でカテキズムにもとづいた教育を受けなればなりません。洗礼準備の教育は、司祭が直接する場合もありますが、多くの場合は、教理教育の訓練を受け、資格を持った信徒が担当します。また、コンパニオン(霊的同伴者)が洗礼志願者とともにクラスに出て、受洗志願者を励まします。ですから、洗礼志願者の募集とともにコンパニオンも募集されます。入門講座を受ける人は、ミサで「入門式」を、入門講座を終えて洗礼を受ける決心ができた人は「洗礼志願式」を一ヶ月ほど前に行います。プロテスタント教会の多くが、たんに受洗者の数を多くするために洗礼が比較的「安易」に行われているのは感心しません。 この教理教育の基礎は世界共通のカソリック教会カテキズムなのですが、このカテキズムをどう教えるかは各国の事情にまかせられています。この本は、アメリカにおける成人のための教理教育の教科書として作られたもので、各課はさまざまなカソリック信徒の生涯のあかしから始まっています。そのあかしの大部分はアメリカのカソリック信徒です。また、プロテスタントの多いアメリカで、プロテスタント信徒が Born-Again を主張するのに対して、カソリック信徒もまたまさに Born-Again であることが説かれています。この本はかなりの大部で、本文だけでも 495ページあります。全体は「信条:信仰の告白」、「聖礼典:信仰の祝典」、「クリスチャンの道徳:信仰の生活」、「祈り:信仰の祈り」の四部に分かれており、全部で36課あります。各課は、さきほど触れたようにカソリック信徒のあかしから始まり、主要な教理がカテキズムの引用とともに解説され、習ったことを確認するための質問、重要なポイントが続き、そして、黙想と祈りで締めくくられています。ほんとうに至れり尽くせりの内容で、洗礼準備中から、入門者や志願者はカソリックの豊かな霊的伝統に触れることができます。 プロテスタントも、かつては、入門者、洗礼志願者は「使徒信条」、「十戒」、「主の祈り」の三要目を教えられました。それがいつしかこれらのものから離れ、十分な準備なしに洗礼が授けられるようになりました。洗礼は「父と子と聖霊の名によって」なされるのに、受洗者に三位一体の神を教えなかったり、洗礼から新しい生活が始まるのに、その新しい生活の原理である十戒を旧約の律法だから教えないといったことがあったりします。主の祈りは完全な祈りであり、キリスト者の礼拝が何であるかを教えるものですが、これをともに祈る教会も少なくなりました。教会が世俗化し、信徒に真理が教えられないままになっていることに対して抗議したがプロテスタントであるのに、プロテスタントのほうが、信徒の教理教育や信仰の訓練をなおざりにし、「伝道」の名のもとに世俗化への道を進んでいるように思います。プロテスタントにもこうしたしっかりした入門書が欲しいと思いました。 {書名|United States Catholic Catechism for Adults 出版社・出版年|USCCB Publising, 2006 ISBN|1-57455-450-6}
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