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所属する喜び アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー(1908年〜1970年)は、人間には、それが満たされないと、病気を生み出し、それが満たされれば、病気を防いだり、病気が直ったりする基本的な欲求があると言いました。それは、生理的欲求、安全の欲求、所属の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求です。生理的欲求の中には、食欲などが含まれます。安全の欲求とは、安心して暮らせる環境を求めることです。どんなに衣食が足りていても、たえず危険と隣り合わせでは、人は生きていけません。所属の欲求とは、家族や親戚、友人や団体に所属し、人と関りたいという欲求です。どんなに食べるものがあり、安全なところに住んでいても、もし、毎日、毎日、たったひとりで孤独のうちに食事をしなければならないとしたら、なんとさみしいことでしょう。承認の欲求というのは、自分が属するグループから、自分の価値を認めてもらいたいという欲求です。自分が誰かの役に立っているということが、どんなにか励ましになることでしょう。自己実現の欲求とは、自分の能力や可能性を発揮し、自己の成長を求めていく欲求のことで、これは、自分さえ良ければ良いという自己中心ということでなく、人格的な成長を求める欲求のことを言います。 マズローの唱えた心理学を受け入れる、受け入れないは別として、人間に、こうした基本的な欲求があり、その欲求の中でも、所属の欲求がどんなに大切なものであるかは、誰もが認めることだと思います。神は、アダムとエバを造り、ふたりを結婚させ、家庭を作らせ、人を家族の中に生まれてくるようにされました。人は、他の人とのつながりの中ではじめて、人間として成長していくからです。ずいぶん以前のことですが、孤児たちのための専門の施設で育てられた新生児と、一般の家庭で育てられた新生児のその後の発育についての調査を見たことがあります。衛生的で、何もかも整った施設で育てられたにもかかわらず、一般家庭で育てられた新生児よりも、孤児たちの死亡率は高く、その後の成長も順調ではありませんでした。その報告には、施設では、栄養や環境が整っていたとしても、こどもに対する愛や関心が十分ではないためではないかというコメントがありました。「暖かい家庭から心暖かい子どもたちが育ち、問題のある家庭から問題のある子どもが育つ。」と言われるように、人は、家庭の中に生まれ、家族の一員として愛されてこそ、人間として成長していくことができるのです。 しかし、残念ながら、アダムの家庭以来、地上には、完全な家庭はありません。どの家庭にも、何らかの欠陥があります。家族から受けた心の傷をいつまでも持っていて、そのために、他の人と正しく関わることができなかったり、結婚して家庭を築いていくようになっても、まだそれにとらわれて、自分が受けた傷を、再び家族に与えてしまうということは、よくあることです。どうしたら、そうした悪循環を断ち切り、所属する欲求が満たされることができるのでしょうか。聖書は、神の家族に属しなさいと教えています。キリストは私たちを神の家族の一員とするために、この世に来てくださいました。聖書に、「しかし、この方(キリスト)を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。」(ヨハネの福音書1:12)とあります。キリストを信じる者は、神から生まれ、神の子どもとなることができるのです。あなたも、神の家族に所属する安心と喜びを味わってください。 (2005年5月)
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