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陰の働き アテネ・オリンピックの全日本女子バレーボール選手団にセッターとして加わった辻 知恵選手は、小さな男の子を持つ、選手団で唯一のお母さん選手でした。柳本監督が、彼女を起用したのは、彼女のバレーボールの技術はもとより、彼女の母親としての心くばりが、全日本チームに必要だったからでした。キャプテンの吉原知子は、バレーボールの練習にはとても厳しく、リーダシップがあり、他の選手をぐいぐい引っ張っていくタイプでしたので、柳本監督は、辻 知恵選手をチーム全体の母親役にするために抜擢したのでした。 辻選手は柳本監督の期待どおり、チームの中で良き母親役を果たし、他の選手のユニホームの洗濯などを引き受け、なにくれとなく、若い選手の世話をしてきました。辻選手は、合宿のたびに、自分の子どもと別れる時に、ほんとうにつらい思いをしてきたのですが、自分のことは少しも話さず、他の選手たちの悩みを聞き、励ましてあげました。雑用のために、練習時間が取れないので、彼女は朝4時からひとりで練習をしていました。それを見た吉原キャプテンは、「辻さん、そこまでしなくても…。」と言ったのですが、辻選手は「私もいざという時にみんなの役に立ちたいのです。そのために、こうして練習しているんです。」と言い張りました。その熱意にほだされて、吉原キャプテンも朝4時から、辻選手と練習を共にするようになったそうです。 オリンピックの全試合が終わった時も、辻選手は、他の選手のユニホームやタオルを黙々と洗っていました。吉原キャプテンは、その姿を見て、「辻さん、ありがとう。よくチームを支えてくれましたね。あなたのお陰で、私たちはここまでやってこれました。」と、涙のうちに感謝しました。華やかなオリンピックの世界にも「陰の働き」が必要なのなら、まして普通の生活では、目立たないところでの働きがどんなに大切なことでしょうか。ほんとうに大切なことの、おそらく99パーセントは、人の目には触れない労苦の中にあると思います。しかし、それは人目に触れなくても、神は見ていてくださいます。そしてその労苦に報いてくださいます。「神は正しい方であって、あなたがたの行いを忘れず、あなたがたがこれまで聖徒たちに仕え、また今も仕えて神の御名のために示してきたあの愛をお忘れにならないのです。」(ヘブル人への手紙六章十節)との聖書のことばを覚え、神に信頼しましょう。 (2004年10月)
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