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も ど る
Christian Doctrine 「教理」と聞くと、多くの人は敬遠します。現代は教義的なことが嫌われます。教会で教理が教えられるよりは、「心温まる話」「元気が出る話」が語られるようになっています。聖書は「真理」の体系であるのに、「心理」の書物として扱われ、教会は「信条」に立つよりも、「心情」に流されてしまうのです。 教会で教理が重んじられないのは、学ぶ側に問題があるとともに、それを教える側にも責任があると思います。教理や神学を「難しいもの」、「退屈なもの」、「日常からかけ離れたもの」であるかのように思わせたのは、神学教師や牧師たちの教え方に工夫が足らなかったのにも一因があると思います。 では、いままでの教理の本はみな退屈なだけだったのでしょうか。そうではありません。教理の学びがおもしろくなるような本、神学が単なる頭脳のエクササイズではなく、神の愛と恵みに感動することであることを教えている本は、数多くあります。C. S. Lewis, J. I. Packer, Paul Little などの著作は真理発見の喜びに満ちています。私は、そうしたものに Guthrie のこの本を加えたいと思います。 この本は 1968年、今から 40年前に教会学校の成人クラスのために書かれました。その間、時代がかわり、クリスチャンはさまざまな現代思想にさらされることになりました。私が手にしているのは 1993年の改訂版です。著者は、改訂版の必要性について、 1. より明確な表現をするため\ 2. 神学研究の成果をとりいれるため\ 3. 社会情勢の変化に対応するため\ 4. 解放の神学など他の神学との対話のため という四点をあげています。 著者は、聖書の教理から現代の諸問題を考え、現代の諸問題から聖書の教理を考えるという姿勢が強く打ち出しています。たとえば、女性の立場や地球環境の問題などにも積極的に触れていますし、各章の設問もきわめて現代的です。この本は改革派神学の伝統に立ちますが、それを丸呑みするのでなく、他の神学の伝統にも耳をかたむけつつ、それを批判的に再検討する必要があるというさえも言っています。たとえば、三位一体論や神の超越性と内在性などの教理に伝統的な改革派神学以上のものを見ることができます。 この本は桑原 昭によって日本語に訳され、2003年に一麦出版社から『一冊でわかる教理』として4500円で発売されています。しかし、神学が日常の話題になることのない日本の読者には、こここで取り上げられている今までの教理概念の再検討ということがどこまで理解されるかは疑問です。再検討すべきものを持っていない人々にはすこしばかり混乱を与えるかもしれません。しかし、その混乱も、神の真理をもって自らに問いかけることへと人々を導いてくれることでしょう。良い指導者によってテキスト・ブックとして用いられるなら、この本は、きわめて有益な教理の教科書となるでしょう。 {著者|Guthrie, Shirley C. Jr. 書名|Christian Doctrine; Revised Edition 出版社・出版年|Westminster John Knox Press, 1994 ISBN|0-664-25368-7}
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