目的をもって生きる

 私たちの教会では、今年「目的の四十日」というプログラムをします。これは、四十日間の間集中して、聖書を読み、祈り、神が与えてくださった人生の目的を見出し、確認しようとするものです。そのために、私たちは、リック・ワレンが書いた『人生を導く5つの目的』という本を教材として使うことにしています。この本の原題は "Purpose Driven Life" と言いますが、"Driven" という言葉は「導かれる」と言うよりは、「駆り立てる」と訳したほうが良い言葉です。著者も言うように、多くの人は、罪責感、怒りと憤り、恐れ、物質主義、受け入れられたいという必要などに駆り立てられて生きています。そして、そのようなものに駆り立てられている人生には、喜びも、平安も、満足もありません。人生の目的を知り、それによって「導かれ」「駆り立てられる」人生ほど、豊かなものはないと、著者は語っています。「駆り立てられる」というと、強制のように聞こえますが、目的を知り、目的に向かっていく人生ほど、自由で、自発的で、生き生きしたものはないのです。

 そして、「目的をもって生きる」という生き方は、人間だけに出来ることです。動物には、「たくましく生きる」、「うまく生きる」ということは出来ても、「より良く生きる」ということは出来ません。昨年末のスマトラ沖の大津波の時、十数万の人々がその犠牲となりましたが、動物たちは、みな、地震の予知能力を用いて、前もって危険から逃れたと言われています。動物たちは、過酷な環境の中でも実にたくましく生きています。動物の方が、ひよわな人間よりも、もっとたくましく生きているのかもしれません。また、動物たちは、それぞれに「うまく生きる」能力も持っています。ビーバーは水の中にみごとなダムを作りますし、チンパンジーは、棒で叩いてバナナを手に入れたり、同じ棒を蜂蜜の瓶に入れ、蜂蜜をなめたりもします。人間は、その知恵、知識によって、様々な機械を作り出し、動物たちよりも、もっと「うまく生きる」ことをしてきました。

 しかし、人間には「たくましく生きる」、「うまく生きる」というだけで満足できないものがあります。「より良く生きる」こと、より良いもの、より真実なもの、より美しいものを求める思いが与えられています。それは、人間が「神のかたち」に造られたからです。「神のかたち」を持つ人間は、造り主である神と出会い、神の与えてくださる人生の目的に従って生きる時はじめて、たましいの空洞が満たされ、本当の人生を生きることができるようになるのです。人はみな、何のために生きるのかという目的を求めています。それは、造り主である神のもとに見出すことができます。聖書に「主はすべてのものを、ご自分の目的のために造り、悪者さえもわざわいの日のために造られた。」(箴言16章4節)とあるように、神が私たちの人生に目的を与え、それを教えてくださるのです。あなたも、教会で、あなたを導き、あなたを駆り立て、生き生きと生かしてくれる「人生の目的」を求めてみませんか。