秩序の神

創世記1:9-19

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1:9 神は「天の下の水は一所に集まれ。かわいた所が現われよ。」と仰せられた。するとそのようになった。
1:10 神は、かわいた所を地と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神は見て、それをよしとされた。
1:11 神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。
1:12 それで、地は植物、おのおのその種類にしたがって種を生じる草、おのおのその種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ木を生じた。神は見て、それをよしとされた。
1:13 こうして夕があり、朝があった。第三日。
1:14 ついで神は、「光る物は天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のために、役立て。
1:15 天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」と仰せられた。するとそのようになった。
1:16 それで神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。
1:17 神はそれらを天の大空に置き、地上を照らさせ、
1:18 また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神は見て、それをよしとされた。
1:19 こうして夕があり、朝があった。第四日。

 一、秩序の神

 自然界のさまざまなものを見るとき、誰もが、そこに秩序があるのを感じます。自然が一定の法則によって支配されていることが分かります。最先端の科学では、この法則も一定ではなく、宇宙の果てという遠いところや原子のレベルでは、ふだん観察できるのと違った法則が働いていると言いますが、ともかくも、それぞれの世界に秩序があり、法則があることは確かなことです。秩序や法則があればこそ、科学者たちがその法則を数式で表わし、技術者たちがその法則に従ってさまざまな製品を作り出しているのです。この世界に秩序があり法則があるのはなぜでしょうか。聖書は、それは神がこの世界を秩序あるものとして造られたからだと答えています。創世記に「初めに、神が天と地を創造した。地は茫漠として何もなかった。やみが大水の上にあり、神の霊が水の上を動いていた。神は仰せられた。『光があれ。』すると光があった。」(創世記1:1-3)とありますが、神は闇の中から光を造りだされたお方、形無く、混沌とした世界に秩序を与えたお方として描かれています。創世記1:14に「光る物が天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のためにあれ。」とあります。無秩序の世界には、「季節」も「日」も「年」もありません。偶然の世界には時間の区分などないのです。この世界は偶然に出来、偶然が重なって秩序が生まれたと言う人もいますが、今、私たちが見ているこの世界の秩序は、たんなる偶然の重なりだけでは説明できないものがあまりにも多くあります。この世界はもとから秩序をもって造られたのです。そのことは、私たちの身の回りのものを見るだけでも分かります。聖書は、神が六日の間に世界を造られたと言っていますが、この創造の六日間は神の創造の予定表であり行程表です。これは、神が計画を持ち、予定を立て、順序正しく、私たちの住む世界を造ってくださったことを教えています。

 創造の六日間は、良く見ると最初の三日と、残りの三日にある種の対比があることが分かります。神は第一日に光を造り、光とやみを区別されましたが、第四日目には、天体を造り、それが「昼と夜とをつかさどり、光とやみを区別する」(創世記1:18)ようにしておられます。また、神は、第二日目に大空を造り、天の上の水と天の下の水を区別されましたが、第五日目には「水には生き物が群がれ。鳥が地の上、天の大空を飛べ。」(創世記1:20)と仰って、水に生きる生物、大空を飛ぶ生物を造られました。そして、神は、第三日に陸を造り、渇いた地と水を区別し、渇いた地に植物を造られましたが、第六日には、陸に住む生物を造り、最後に人間を造っておられます。つまり、第一日から第三日までに神はこの世界の枠組み、舞台装置を造り、第四日から第六日にそれぞれの枠組み、舞台装置に必要なものを置いていかれたのです。しかも、順序正しくです。もし、第一日に光がなければ、第三日に植物がつくられても、植物は光合成によって養分を作り出すことができなかったでしょう。鳥は空を飛ぶからといって、三日目に陸地が造られる前に造られたとしたら、水鳥でもないかぎり、羽を休める場所を見つけることができなかったでしょう。また、地上に植物がないときに動物が造られていれば、動物は食べ物がなく、生きていけなかったでしょう。すべての環境が整ってから神は人間を造られました。もし、この順序が逆だったら、人間は生きてはいけませんでした。神はすべてを順序正しく造られ、この世界に秩序をお与えになったのです。

 神がこの世界に秩序をお与えになったことは、神が第一日目に光と闇、第二日目に天の上と天の下の水、第三日目に陸と海とを区別されたことにもよく表わされています。神は、光と闇、天と地、陸と海とが入り混じっていた世界に区別を与え、そこに秩序をうちたてられました。このことは創世記ばかりでなく、箴言にも「主は知恵をもって地の基を定め、英知をもって天を堅く立てられた。」(箴言3:19)「神が上のほうに大空を固め、深淵の源を堅く定め、海にその境界を置き、水がその境を越えないようにし、地の基を定められた」(箴言8:28-29)ということばで表されています。詩篇も、が世界に与えた秩序を次のように賛美しています。

あなたは、深い水を衣のようにして、地をおおわれました。
水は、山々の上にとどまっていました。
水は、あなたに叱られて逃げ、あなたの雷の声で急ぎ去りました。
山は上がり、谷は沈みました。あなたが定めたその場所へと。
あなたは境を定め、水がそれを越えないようにされました。
水が再び地をおおうことのないようにされました。
(詩篇104:4-9)
主は季節のために月を造られました。太陽はその沈む所を知っています。
あなたがやみを定められると、夜になります。
夜には、あらゆる森の獣が動きます。
若い獅子はおのれのえじきのためにほえたけり、神におのれの食物を求めます。
日が上ると、彼らは退いて、自分のねぐらに横になります。
人はおのれの仕事に出て行き、夕暮れまでその働きにつきます。
(詩篇104:19-23)

 二、救いの神

 詩篇19篇に「天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる。昼は昼へ、話を伝え、夜は夜へ、知識を示す。話もなく、ことばもなく、その声も聞かれない。」(詩篇19:1ー3)とあります。自然は、人間のようにものは言わないけれども、神が与えた法則という「ことば」によって、人間に神の存在を物語っていると言っています。この詩篇のことばの通り、多くの神を信じる科学者たちは、この自然が物語っている「ことば」を翻訳して私たちに伝えてくれています。人間の遺伝子の解読に大きな貢献を果たしたフランシス・コリンズもそのひとりです。彼は2006年に Language of God という本を書き、遺伝子のデータが無意味な記号の集まりではなく、それは神を物語る Language(ことば)であると言っています。この本は、昨年『ゲノムと聖書 科学者、<神>について考える』という題で日本語に翻訳されました。コリンズは無神論者でしたが、遺伝子のしくみの中に神のことばを聞き、人生の問題を考え、クリスチャンになった人です。

 神は、自然界に法則を与え、それを保っておられますが、同時に、人間に信仰や道徳の法則をも与えておられます。さきほどの詩篇19篇は、自然の法則について語ったすぐあとで、「主のみおしえは完全で、たましいを生き返らせ、主のあかしは確かで、わきまえのないものを賢くする。」(詩篇19:7)と言っています。神が自然に与えた法則のすばらしさとともに、人間に与えられた霊的な法則の素晴らしさをもほめたたえているのです。人間は霊的な存在として作られました。それで神は人間に自然の法則だけでなく、霊的な法則をもお与えになったのです。人間は自然の法則と信仰と道徳の法則の両方の下に立っています。先ほど名前をあげたフランシス・コリンズもその本の中で道徳の法則について書いています。

 自然の法則は、それを破ると必ずその結果が返ってきます。自動車を無茶苦茶なスピードで運転し、急なカーブを曲がれば、遠心力が働いて車はカーブを曲がりきれずに、道路から飛び出し、どこかにぶつかってしまうでしょう。物理の法則は、それを破ると、しっぺ返しがすぐやってきますが、自然環境や生物に与えられた法則は、結果が見えるまで何百年もかかることがあります。それで人々はそれを無視し、目先の利益だけを考えて、将来にマイナスの遺産を残してしまうのです。自然を汚し続けると、自然が持っている回復機能が働かなくなり、地球の温暖化や砂漠化、大気汚染が進みます。害虫が繁殖し、病原菌が増殖し、台風や竜巻が頻繁に発生するようになります。環境を汚し、生体系を壊し続けるなら、それは必ず害となって返ってくるのです。それと同じように、神が定めた信仰と道徳の法則を無視するとき、それによって私たちの心は暗くなり、人間関係が壊れ、社会が腐敗していきます。信仰と道徳の法則は、物理の法則のように、見える形ですぐに現れないこともあるので、人々は平気でそれを無視し続けています。預言者エレミヤは、イスラエルの混乱した時代に「空のこうのとりも、自分の季節を知っており、山鳩、つばめ、つるも、自分の帰る時を守るのに、わたしの民は主の定めを知らない。」(エレミヤ8:7)と言っています。小さな動物でも神の秩序の中に生きているのに、神に最も近く造られた人間が「主の定め」を無視し、それに逆らい、それを忘れ、自らに混乱を招き寄せているのです。それは、エレミヤの時代ばかりでなく、現代も同じです。

 しかし、神は「秩序の神」です。世の中がどんなに混乱していたとしても、神はそこから秩序を造りだすことがおできになります。事実、神は、神を見失った世界に、ご自分のひとり子イエス・キリストを遣わしてくださいました。キリストは、「わたしを見た者は神を見たのだ。」と言われました。キリストは、罪の死の世界にいのちを与えるためにおいでになりました。私やあなたの罪を背負い、私たちに代わって十字架で罪の刑罰を受けてくださいました。そればかりでなく、キリストはご自分の死によって「死」そのものを滅ぼし、復活して私たちに新しいいのちを与えてくださるのです。キリストは、「人は、新しく生まれなければ、神の国を見ることはできません。…人は、水と御霊によって生まれなければ、神の国にはいることができません。」と言われました。「水と御霊によって」というのは、バプテスマのことを指しています。バプテスマの水は、「神のいのち」を示しています。創世記1:2に、世界がいのちを与える水に覆われ、その水の上を聖霊が動き、秩序ある世界が造られていったように、聖霊は、バプテスマの水に働きかけて、私たちを再創造してくださるのです。罪のために混乱し、人生の意味も目的も見失い、生きる力さえなかった者が聖霊によって「新しい人」として造りかえられ、その後も、絶えず造りかえ続られていく、これがイエス・キリストの救いです。

 この自然に秩序を与えた神は、神の秩序に逆らって自らを壊してしまった人間をあわれんで、私たちが、もういちどその秩序をとりもどすことができるようにしてくださるのです。私たちが、神の秩序に生き、神のくださった霊的な法則に従って生きることができるようにしてくださるのです。神は世界の秩序が守られているかどうかを見張っているだけのお方ではありません。秩序を乱した者たちを取り締まって、それを世界から除き去るだけのお方でもありません。もしそうなら、神はとっくの昔に人類を滅ぼしておしまいになったでしょう。神は、神の秩序を壊し、そのために自分自身をも壊している人間をあわれんで、まず、人間を回復し、そしてついには世界と自然の秩序をも回復しようとしておられるのです。神は、警察官や裁判官のようなお方ではなく、私たちのためのあわれみ深い弁護者であり、救助者、救出者です。「秩序の神」は同時に「救いの神」です。

 神が与えた自然の法則は、何年経っても変わることがありません。それと同じように、神が人間に与えた霊的な法則、神のことばも変わることはありません。詩篇に「主よ。あなたのことばは、とこしえから、天において定まっています。あなたの真実は代々に至ります。」(詩篇119:89)とあります。人々は、自然界にある神の法則の確かさを見て、神のことばの確かさを確認しました。信頼できる確実なものが何一つない中でも神のことばによって希望を持ちました。預言者イザヤ書は混乱の時代に「目を高く上げて、だれがこれらを創造したかを見よ。」(イザヤ40:26)と叫びました。今まさに国が滅びようとしている混乱の時代、人々が希望をなくし、恐れにとらわれているその時に、神は預言者を通して、人々に語りかけました。「わたし、このわたしが、あなたがたを慰める。あなたは、何者なのか。死ななければならない人間や、草にも等しい人の子を恐れるとは。天を引き延べ、地の基を定め、あなたを造った主を、あなたは忘れ、一日中、絶えず、しいたげる者の憤りを恐れている。…わたしは、わたしのことばをあなたの口に置き、わたしの手の陰にあなたをかばい、天を引き延べ、地の基を定め、『あなたはわたしの民だ。』とシオンに言う。」(イザヤ51:12-13,16)神は何度も「わたしがこの世界を造った。」と言っておられます。神がこの世界を創造されたことを信じ、造り主である神に信頼することは、救いへの第一歩です。すべてのものの造り主である神と、神のことばを信じ、混乱から秩序へ、不安から平安へ、恐れから信頼へと導かれていきましょう。

 (祈り)

 神さま、今、世界は混乱し、社会は乱れています。結婚も家庭も壊されつつあり、人々のこころは不安と恐れで一杯です。そうした時こそ、私たちに目を高くあげて、あなたがすべてのものを造り、それを保っておられることを覚えさせてください。闇の中に光を、混沌の中に秩序を与えてくださったあなたに信頼することを教えてください。そして、「どんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません。」との確信に導いてください。救い主キリストのお名前で祈ります。

3/1/2009