祈りの花束アドベントンの過ごし方1年は1月1日から始まります。でも、それは一般のカレンダーの場合です。教会の礼拝のカレンダー(Christian Calendar/Liturgical Calendar)ではクリスマスの4週前の日曜日から始まります。 年によっては11月の最終日曜日であったり、12月の第1日曜日であったりしますが、その日は「アドベント第1主日」と呼ばれます。「アドベン ト」とは「到来」を意味する言葉で、救い主イエス・キリストの到来、つまり、「ことばが人となって、私たちの間に住まわれた」(ヨハネ1:14)ことを覚 えるものです。 アドベントには「アドベント・キャンドル」を灯す慣わしがあり、アドベント・キャンドルの真ん中には白く大きなキャンドルを置きます。これは「い のちの光」イエス・キリストを表し、「キリストのキャンドル」と呼ばれます。その左右、あるいはまわりに4本のアドベント・キャンドルを立てます。それぞ れには、次のような「名前」と「意味」があります。 アドベント第1主日「預言のキャンドル」(希望)この週には預言者たちによって語られた救い主到来の希望を覚えますので、 それゆえ、主は自ら、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ、処女が身ごもっている。そして男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ。(イザヤ7:14) ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。(イザヤ9:6) などの御言葉を読み、「久しく待ちにし」や「エサイの根より」などの賛美を歌うと良いでしょう。 アドベント第2主日「天使のキャンドル」(平和)この週にはイエスのお生まれを告げた天使が 「いと高き所で、栄光が神にあるように。地の上で、平和がみこころにかなう人々にあるように。」(ルカ2:14) といって賛美したことから、「平和の君」イエスによって与えられる平和を覚えます。この週には「荒野の果てに」、「天には栄え」、「天なる神には」などの賛美がふさわしいかと思います。 アドベント第3主日「羊飼いのキャンドル」(喜び)この週には羊飼いたちが御子を礼拝した喜びを覚えます。アドベント・キャンドルは、ふつう「待望」を意味する「紫」色のものが使われますが、「羊 飼いのキャンドル」だけは色が違っていて、「薔薇」色が使われます。これは、「喜び」を表しています。聖書に次のようにあるからです。 御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。見なさい。私は、この民全体に与えられる、大きな喜びを告げ知らせます。今日ダビデの町で、あなたがた のために救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉桶に寝ているみどりごを見つけます。それが、あなた がたのためのしるしです。」(ルカ2:10-12) 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて御使いの話のとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。(ルカ2:20) この週には「諸人こぞりて」を歌うといいかと思います。英語では "Joy to the world" と、「喜び」という言葉がそのまま使われています。「牧人 羊を」にも「喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ」とあります。 アドベント第4主日「ベツレヘムのキャンドル」(愛)この週は、ベツレヘムの家畜小屋の飼葉桶に寝かせられた御子が、じつに、神の愛の賜物であることを覚えます。ヨハネ3:16を味わい、「独りの御子を」、「神は独り子を」、「それ神はその独り子を」などを賛美して過ごしましょう。 神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。(ヨハネ3:16) クリスマス・イヴ古代には、日没が日付の区切りでしたから、クリスマス・イヴは「クリスマス・デー」として祝われます。従って、この時には「キリストのキャンドル」を灯します。クリスマス・イヴには ところが、彼らがそこにいる間に、マリアは月が満ちて、男子の初子を産んだ。そして、その子を布にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。(ルカ2:6〜7) などを朗読するといいでしょう。クリスマス・イヴの賛美といえば、なんといっても、「きよしこの夜」ですが、他にも「ああベツレヘムよ」、「入れまつる家あらず」、「馬槽のかたえに」を献身の思いをもって賛美したいと思います。 クリスマス・デー世の人々にとってはクリスマス・イヴはパーティの日、クリスマス・デーはウィンター・バケーションの始まりかもしれませんが、キリスト者にとっては大切な礼拝の日です。聖書に すべての人を照らすそのまことの光が、世に来ようとしていた。この方はもとから世におられ、世はこの方によって造られたのに、世はこの方を知らなかった。こ の方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった。しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の 子どもとなる特権をお与えになった。この人々は、血によってではなく、肉の望むところでも人の意志によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである。 ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに 満ちておられた。(ヨハネ1:9〜14) とあるように、永遠の神の御子が人となられたことによって、御子を信じる者が神の子どもとされるようになりました。クリスマスは、「受肉」の奥義(神秘)を 静かに想い、大いに神を賛美する日でありたいと思います。クリスマスの賛美は、決してセンチメンタルなものではありません。「生けるものすべて」、「神の 御子は」、「諸人声上げ」など、どの賛美も「受肉」の奥義を歌いあげています。 上記を参考にして、それぞれの家庭で、あるいはグループで、アドベントの礼拝を行ってみてください。 クリスマスは12月25日から、エピファニーの前日、1月5日まで12日間祝われます。日本の文化を取り入れた新年の飾り付けをするのでなければ、1月5日までは「キリストのキャンドル」を灯し続けておくと良いでしょう。 【注意】教会や家庭でキャンドルを使うときには、くれぐれも火災に気をつけ、教会の場合は管理する人を決めて、安全を確認するようにしてください。裸火が心配な場合は LED キャンドルを使うことをお勧めします。 |